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板東 久美子 さん

S52卒

はじめに

—————— これまでのご職業について

40年近く国家公務員生活を送り、その大半は文部科学省で教育行政に携わりましたが、その他にも、秋田県副知事、内閣府男女共同参画局長、消費者庁長官など、異なる分野の行政もいろいろ経験してきました。公務員退職後は、司法と関わりの深い日本司法支援センター(法テラス)の理事長を務めましたが、それも卒業した現在は、日本赤十字社常任理事、津田塾大学理事、雪印メグミルク(株)社外取締役など、非常勤で様々な分野・組織に関わっています。東京大学の関係では、経営協議会や総長選考・監察会議などの委員を務めています。スポーツの関係でも、ラグビーやパラスポーツの協会に評議員として関わっているところです。


—————— 卓球との関わりについて

卓球は、高校までも全く経験がありませんでした。運動神経も鈍いので、ずっと卓球は一番ご縁の無さそうなスポーツだと思っていましたのに、意外にも大学で卓球部に入ることとなりました。

東大卓球部での活動

—————— 入部したきっかけ

最初は卓球部への関心は全く無く、合気道など始めてみようかと体育会のオリエンテーションに参加しました。しかし、体育会では女子が少ない中、卓球部には女子部員が何人もいるのを知り、また、ちょうど駒場の女子クラスメートが卓球部に入るというので、何となく楽しそうだなと勢いで入ったというのが正直なところです。その年は卓球部には新入生女子が7人も入りましたが、他のことが忙しいと3人は半年ほどで退部。私は断トツに下手だったのに、先輩・同期にこんなに恵まれた部は他にないと思い、結局卓球部にずっとお世話になりました。


—————— 卓球部での活動内容・関わり方、現役時代の思い出について

遅いスタートならむしろ少数派をということでカットマンを目差しました。コーチや先輩が本当にいろはから親切に教えてくれましたし、練習は充実していて、下手なりに少しずつ成長する喜びや達成感を感じることができました。夏休みの練習で大汗をかいた後の爽快感、仲間と食べたかき氷の美味しさは今でも思い出します。試合に出ることは少なく、まして勝てませんでしたが、人の試合を見るのは大好きで、チームの応援には熱くなりました。
多様で魅力的な先輩・同期・後輩との出会いも、卓球部の醍醐味でした。卓球に関して多くを学び、刺激を受けたのはもちろんですが、とにかく、先輩・同期・後輩の仲がよく、時には遊びを共にしたり、合宿や遠征の中でも様々なことを語り合い、部活を超えた長い付き合いにつながっていきました。卓球部の1年女子で駒場祭にレストランを出し、徹夜で準備したことも楽しい思い出です。男女も仲が良く、何組も結婚に至るカップルが誕生しました。といっても、私はそちらの方のご縁はありませんでしたが・・・

学業や他の活動との両立

—————— 卓球部の活動と学業との両立について

駒場時代は、卓球部の練習の他にも、アルバイト、幾つかの興味あるゼミへの参加などいろいろやりたいことが多くて、結構忙しくしていました。正直なところ、授業はあまり真面目に出ていませんでしたが、卓球部の練習は夕方から週3回だけですので、これは卓球部のせいではないことは確かです。
法学部の専門課程に進学してからは、駒場時代ちゃんと勉強していなかったつけもあって、かなり集中して専門の勉強をせざるを得なくなりました。先輩や同期には、専門課程に進んでも練習時間をできるだけ確保し、試合でも活躍されているメンバーも多数いましたが、卓球も勉強も低空飛行だった私の場合は両立の余裕が無く、特に国家公務員試験や司法試験を意識し始めた3年秋以降は、駒場に足を運べなくなりました。もし後の自分であれば、日常生活の中でのスポーツの必要性も身に染みていますので、もう少し両立の工夫をしたのにという思いもあります。でも、試験も合格し、希望の就職をすることができたのも、卓球部で培われた体力・集中力・挑戦心のおかげも大きいと思っています。そんな落ちこぼれの私でも、卓球部はずっと仲間に入れてくれる懐の深さがあり、変わらぬ心の拠り所でした。

卓球部の引退後について

—————— 大学時代に卓球部を通じて知り合った方との交流

卒業後しばらくして、女性の先輩・同期・後輩で社会人チームが作られ、それに入れていただいて、久しぶりにラケットを握ることができました。
子育てが忙しくなってからは、卓球とご縁がなくなっていましたが、アメリカに1年余り滞在していた時には、住宅の地下室に卓球台を置くことができ、子ども達と時々卓球を楽しみました。
また、卓球部で鍛えた体力は、職業生活や家庭との両立でもものをいいましたし、後に子育て期が終わってからマラソンに挑戦することにもつながりました。
何より、卓球部で知り合った仲間は本当に一生ものとなりました。特に、途中で辞めた人も含む同期女性7人や、年次の近い先輩達とは今でもいろいろな形でお付き合いがあり、私が大学時代に得た一番の財産だと思っています。

新入生・現役生へのメッセージ

—————— 卓球の魅力はなんだと思いますか?

卓球は、だれでも入りやすく、しかも、その奥は実に深く、広い。一流選手の試合を見ると、球の回転やスピード、コースをどうするか、どう読むかといった技術や知恵の限りが尽くされているのを感じますが、初心者であっても、新しいサーブを習得するなど、1つ1つ技術を身に付けていく中で段々と扉が開かれ、違う面白さが見えてくる楽しみがあります。また、ラケットやラバー、戦型の違いによって多様な卓球スタイルがあり、選手それぞれが多様性に富んでいるのも魅力だと思います。さらに、世代・年齢を超えて楽しめるスポーツであり、地域のスポーツ大会でも、練習量や経験が豊富な高齢者が若い人を負かすこともしばしば見かける光景です。それぞれのライフスタイルや目的に応じて最も多様な楽しみ方ができるスポーツだと言えるのはないかと思います。

—————— 卓球にサークルではなく体育会の部活動として取り組むよさはどこにあるでしょうか?

体育会の部活動としての真髄は、真剣に真正面からスポーツに向き合うこと、そして自分の力を磨くだけでなく、チームとしての力を向上させ、さらに高みへと挑戦していくことだと思います。その意味で、自分が楽しければよいというだけではない辛さもありますが、それがいろいろな意味で自らの限界を壊す、広げることにもつながります。体育会として取り組むことにより、活動の密度の濃さ、確かな手応え、成長の喜び、仲間との絆の深さが感じていただけるのは確かだと思います。サークルのような活動は社会に出てからもやることができるけれども、部活動に取り組むことができるのは学生時代だけ。これも実感するところです。


—————— 大学生活で何をするか迷っている新入生へのメッセージをお願いします!

大学生活は、自らの地平を広げ、いろいろな挑戦ができる時だと思いますし、学業・本業以外にも自分が真剣に関わる世界を持つことはその後の人生にも大きく影響すると思います。専門分野を超えた多様な人々とのつながりも教室ではなかなか得られません。部活動は、そのような世界を広げる重要な領域であり、是非取り組むことを考えていただければと思います。その中でも、卓球部は、経験者も初心者もそれぞれの特質に応じて挑戦できるオープンさ、多様性があり、部員やOBとの関係もとても平等で風通しがいい。学生時代はもちろん、生涯にわたる様々な果実を得ることができる有力な選択肢として是非お薦めしたいと思います。

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